学習力  特殊な読み方・かな遣い

俳句には特殊な読み方をする言葉が結構出てきます。

 

例えば、「夫」は「つま」と呼びます。

これは辞書を引いても絶対に書いていません。覚えるしかないのです。

 

また、かな遣いも原則旧かな遣いです。

 

蝶々を「てふてふ」を書いているのを見たことがないでしょうか。

「てふてふ」と書いて「ちょうちょう」と読むのです。

この書き方も若い世代は覚えるしかありません。

 

昔受験勉強をしていたころは、何度も書いて手に覚えこませたり、語呂合わせをしたり、いろいろやりましたが、そうやって覚えたことも大学に入ると忘れてしまいます。

 

俳句はずっと続けていられるので、覚えたら忘れなくなります。

そして、そういう特殊な読み方をどんどん覚えていくことが自信にもつながります。

 

思考力  頭を使う

俳句は何かと頭を使います。

作るときにも知識を総動員しますし、あの手この手で工夫を考えますし、読むときにもあらゆる知識を動員して理解しようとします。

脳力テストが流行っていたりしますが、わざわざやらなくてもいろいろな能力が鍛えられています。

 

漢字、歴史、一般常識、作法、行事、などいろいろな知識が身に付きます。

五七五にするためには、どういう言葉を選べばいいのか、どういう語順にしようか、四苦八苦します。

 

普段から頭を使っている人は老けない、と聞いたことがあります。

 

俳句をやっている人はみんな年齢不詳です。

実年齢よりもみんな若く見えます。

 

好きなことをやっているし、しょっちゅう俳句を作りに出かけているせいもあるのでしょう。

こだわり力  自分の世界観

俳句をずっと作っていると、自分の傾向が見えてきます。

写生句が好きな人、内観が好きな人、変わったセンスの句ばかり、など自分が作りやすい句というのがあります。

 

更に、句会で取ってもらいやすい句、先生に褒められる句、意外だと言われる句、などもできてきます。

 

自分を理解することが、自分の強みを発見する第一歩です。

そして、自分のことをしっかり理解することによって、自分の好みも分かり、自分の意見もはっきりしてきます。

 

私はいろいろなことに対して、自分の意見というものがありませんでした。

ある事柄について、自分はどう思っているのか、好きなのか嫌いなのか、しっかり考えたことがなかったからです。

 

自分の意見が言えると、人とのコミュニケーションも楽しくなってきます。

自分なりのこだわりも時には必要です。

 

アイデア力  二物取り合わせ

二物取り合わせという言い方もあります。

全く関係のない二つのものを持ってきて、新しい世界を作るような句です。

 

株価ニュース 少し萎れし 寒椿

 

昔私が作った句です。

株価ニュースと椿の花は全く関連性がありません。

でも、「萎れている」と持ってくると、まるで株価が調子悪かったから(人間はもちろんのこと)椿の花まで萎れてしまったんだ、という想像ができます。

ほんのわずかな共通項みたいなものを見つけることによって新しい世界が生まれます。

 

世の中に出てくるヒット商品はこういうことがうまいのだと思います。

意外な組み合わせで新しい商品ができるのですが、その「意外」が「意外」のままでは、人は面白いと思わないはずです。

どこかに、「ありえる」という納得があるはずです。

 

伝達力  三段切れは何を言いたいのかわからない

俳句に三段切れという言い方があります。

例えば、

初桜 かけよる子犬 小さき川

などのように名詞を三つ並べたような場合、三つにぶつ切りになってしまいます。

これはやってはいけないことです。

 

これを例えば、

初桜 小さき川辺に 寄る子犬

などとすると、「初桜」と「小さき川辺に寄る子犬」の二つになります。

 

たとえ要素を絞ったとしても、とりあえず置いてしまえ、というのは何も表現できていないのと同じです。

 

読む方に読みやすくしてあげるのが作者の腕の見せ所です。

 

作文や会社の文書も同じです。

上司から文句が出ない人は、きっと読みやすい工夫をしているはずです。

 

抽出力  描きたいものは一つ

俳句は短いので、一つの句の中にいろいろ要素を入れてしまうと、本当に言いたいことがぼけてしまいます。

 

更に、二つに絞ったとしても強弱をつけないと、その二つがけんかしてどちらも目立たなくなります。

季語にも強い季語とそれほど強くない季語があるのですが、例えば「月」と「花」はとても強い季語です。

絵の構図でも、これらは鮮やかなモチーフなので、両方使う時には遠近法をつけたり、一部にしてみたりと強弱をつけると思います。

 

最近の電化製品はいろいろな機能・サービスを盛り込みすぎて、消費者が使いづらくなっているといいます。

本当にいいものが目立たなくなるので、メーカーも自分の売りが何なのか分からなくなっているかもしれません。

 

俳句も商品も、一番伝えたいことをはっきりすることです。

 

成長力  季節がめぐるごとにスパイラルアップ

季節は1年たつと同じ季節がめぐってきます。

毎年同じ季語を使うこともありますが、それでも自分は成長しています。

 

去年と視点が変わっていたりします。

去年は使えなかった技を持っていたりします。

 

そして、難しいと思っていた季語にも挑戦もするようになります。

 

そのうち、季語について語れるようになったりもします。

 

何年か分を振り返ってみると、自分のアルバムを見ているようです。

「あの頃は、こんなへたくそな季語の使い方してたのか」とか「この季語の使い方は先生に褒められたよな」とか。

そして、俳句は気持ちが入っていますから、その時の気持ちに戻ることもできます。

 

自分の作った句は大事に管理しておくことをお勧めします。

アルバムとしても、句集の元帳としても、とても大事なものです。

 

根気力  季語を理解するのに3年

季語の使い方を覚えるのに3年かかりました。

俳句は自分の気持ちをストレートに表さないので、季語に託すのですが、季語の持つイメージは人によってさまざまです。

聞いたことのない季語もあります。

 

花の名前は、見たこともないものもあるし、分かる花でもどういう気持ちを表現できるのか分からないものもありました。

 

そのうち、花の立ち姿だったり、色の濃さだったリ、群れて咲いているかなどから、いろいろ想像を膨らませていくのだとわかりました。

 

仕事も同じだと思いました。

最初の1年はサイクルが分からないので、とにかく覚えることで精いっぱいです。

2年目になってやっと、去年はこうしてた、ということがわかります。

3年目になって、工夫をしてみようとなります。

一つの仕事を習得するのに3年は必要と言われますが、それがよくわかりました。

 

独自力  人気のある季語ほどたくさんの句

私は「桜」という季語が大好きですが、日本人であれば皆大好きな季語です。

ということは、ものすごい数の桜の句が詠まれているということです。

その中で、みんなに取ってもらえるような句を作るのは並大抵のことではありません。

自分なりの視点を見つけないといけないのです。

 

それは実生活で自分の強みを見つけることとよく似ています。

仕事だったり、習い事だったり。自分が人よりもアピールできるところを持っている人は成功できます。

 

好きな季語を使うためだったら、新しい切り口探しは全く苦ではありません。

桜にどんな取り合わせをしようか、ひらがなで書いてみようか、全く想像できない感情を入れて見ようか、などなど。

 

それと同じように自分の強みを探すのも楽しいことではないでしょうか。

自分のことが好きであればある程、いろんな切り口が見つかると思います。

 

実感力  生活に根付いている

俳句は実際にモノを見なくても、頭の中だけで作ることも可能です。

 

でも、そういう句はすぐに見抜かれてしまいます。

実感がないからです。

 

どんなにきれいな景色であったとしても、そこに感動がなければ読んだ人は共感できません。

 

反対に、どうってことない風景でも、作者がとっても嬉しかったんだというようなことを詠んでいると、読んている方も「今まで気づかなかったけれど、いいもんだな」という気になってきます。

企業のホームページとかパンフレットとか、きれいすぎるものはよくないと聞いたことがあります。

気持ちが入っていないからだそうです。

 

それよりも、その会社の良さがにじみ出ている方がいいですよね。